あ

∵ アマテラス

・記紀神話の神。女神。伊弉諾尊(いざなきのみこと)の子。太陽の神格化。皇室の祖神。伊勢の皇大神宮に主神としてまつられる。天照神(あまてるかみ)。大日 尊(おおひるめのみこと)。大日 貴(おおひるめのむち)。
・廻向の使用する刀の名。

∵ インビジブル・タワー

→摂理の塔

∵ エディプス-コンプレックス [Oedipus complex]

〔オイディプス王が父を殺して母を妻としたギリシャ神話にちなむ〕精神分析の用語。子供が無意識のうちに、異性の親に愛着をもち、同性の親に敵意や罰せられることへの不安を感じる傾向。フロイトにより提唱され、多くは男子と母親の場合をさす。
→本作では、廻向がゆりねに対して寄せる感情を示す。=父性・ゆりね=母性

∵ 乙羽

「我(わ)に姓(かばね)なし」私に姓はありません。
「其(そ)に屍(かばね)なし」それに身体はありません。(ゆりね
「我(わ)は現(うつつ)なり」私は現実です。
「其(そ)は幻(まやかし)なり」それは幻です。(ゆりね
新宿を牛耳るヤクザ組織の組長の息子として生まれる。
組長とその姉の間に生まれた、不義の子。
無痛症(先天的に痛みや恐怖を感じない体質)の殺人マシーンであったが、その特異体質と冷徹・冷酷な資質を、組織のボスである父親から疎まれ(恐怖され)、襲撃される。
弟分の怜二ともども追い詰められ、致命傷を負ったところを病院へ搬送された。
(#1病院のシーン。ストレッチャーで運ばれている)
本名は不明。
死人の魂を操り、鴉の鎧に封入することでそれを使役する<ゆりね>によって、鴉に選ばれた。
自分の居場所、自分が生きている意味、そういったものを5,6話で見い出してゆく。
*「乙羽」とは、新宿の鴉に選ばれた人間に与えられる字。


か

∵ 河童(カッパ)

語源は河童(かわわらわ)で、河童→カワワッパ→カッパと変化した。
カッパの呼び名は江戸時代以降でそれ以前はミズチ(蛟=蛇)と呼ばれ「水神」と言う意味を持った言葉。別称として水虎。 御座の1人。水性を司る。
彼が死ぬことにより、東京の水まわりが不自由になる。

∵ 鎌鼬(カマイタチ)

御座の1人。風性を司る。

∵ 鴉(からす)

の意思>の代行者、ゆりねが操る<意思なき鎧>に<人間の魂>を注入したもの。
車型(タヂカラオ)・鳥型(ウズメ)へと変形可能。その力の源は、刀にある。
刀が記憶する<古の戦いの記録>を読み取ることにより、乙羽は戦闘能力を発揮することが可能。
今回の主人公、乙羽の刀は、月の力を司る<月読ツクヨミ>→参考文献:日本書紀
また対する廻向の刀は、太陽の力を司る<天照アマテラス>→参考文献:日本書紀
本来、2対で<太陽と月=陰と陽>バランスを取っているものが分かれた物。
参考URL:http://www.allchinainfo.com/culture/fusui/yinyang.html

<鴉に選ばれし者とはどういう人物なのか?>

ただ誰でも鴉に選ばれるわけではない。殊にそのに縁の深い人物、そしてそので最大級の権力を持った人物のみぞ選ばれる。

∵ カラス

都市部に生息する鳥。害鳥とも。
鴉は、彼らの眼をレーダーの様に使用することができる。
彼らの眼は、鴉の目なのだ。

∵ 干渉事件対策課

心霊現象や怪奇現象のような、<人知を超えた何かによる、現実世界への干渉>によって起こる事件を専門で捜査する部署。略して干渉課。
新宿署では、署長が鷺坂をその任につけているが、その目的は、「連続する怪奇現象を、あえて捜査する部署をつくることにより、都市伝説を発生させる」ことにある。
「都市伝説」=「恐怖」の存在は、妖怪そのものを肯定・存続させてゆくための手段。
怪奇雑誌や、怪奇番組の放送にも、鳳春院グループの影が!?
それぞれの事件に必ず一名から数名の生存者がいることにも関連して意味がある。
人間が恐怖のような原始的な感情さえなくしてしまうことが、妖怪を否定する行為であるから。

∵ 呉鳴海

新宿署に赴任してきた警部。
超常現象の一切を信じることの無い、リアリストの刑事。キャリア志向。
しかしその実体は、都知事が新宿署へ送り込んだスパイ。
怪しげな行動を取る署長と、干渉課を監視することが目的。
様々な怪異に遭遇し、最後には妖怪の存在を認めるに至るが、気持ちの整理が付かずに鷺坂の娘、よし子とともに新宿を去る。

∵ 古事記

歴史書。三巻。712年成立。序文によれば、天武天皇が稗田阿礼(ひえだのあれ)に誦習(しようしゆう)させていた帝紀・旧辞を、天武天皇の死後、元明天皇の命を受けて太安万侶(おおのやすまろ)が撰録したもの。上巻は神代の物語、中巻は神武天皇から応神天皇までの記事、下巻は仁徳天皇から推古天皇までの記事が収められている。現存する我が国最古の歴史書であり、天皇統治の由来と王権による国家発展の歴史を説く。


さ

∵ 鷺坂実

新宿署刑事。もとは優秀な刑事だった。
たった一人の愛娘が集団自殺事件に巻き込まれ、また「妖怪が見える」ことで、精神病院に収容されてしまった。
その真実を証明するべく、超常現象を追い続ける。

∵ 鷺坂よし子

もとより妖怪や幽霊を見ることができる能力(素養)を持ち合わせていた少女。
妖怪の手による集団自殺事件、唯一の生存者。
「妖怪を見た」という証言に際して、彼女の母は、彼女を精神病院に収容し、鷺坂と離婚するといった冷酷なものだった。 現在は強度の精神安定剤の投与などで、自我が崩壊してしまっている。

∵ 摂理の塔

鳳春院グループの本社ビル。この作品世界の東京の中心にそびえ立つ。
鴉を摂理とする、廻向の考えより命名された。
→インビジブル・タワー


た

∵ タマフリ(魂振りという呪術)

ゆりねが(の鎧に)人間(乙羽)の魂を注入するときの口上。
「一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)五(いつ)六(むゆ)七(なな)八(やは)九(ここの)十(とをなりけりや)布瑠部由良由良止布瑠部 (ふるべゆらゆらとふるべ)」
下記は前・後略ですが、本物の祝詞の一部になります。

(前略)布瑠部(ふるべ)此(か)く為(な)しては死(まか)りし人(ひと)も生(い)き返(かへ)らむと言誨(ことおし)へ詔(の)り給(たま)ひし随(まにま)に饌速日命(にぎはやひのみこと)は天磐船(あめのいはふね)に乗(の)りて河内國(かはちのくに)の哮峯(いかるがのみね)に(後略)

∵ 月読(ツクヨミ)

日本神話の神。伊弉諾(いざなき)・伊弉冉(いざなみ)の子。夜の食国(おすくに)あるいは滄海原(あおうなばら)を統治する神とされる。
乙羽)の剣の名。


な

∵ 日本書紀

漢書・後漢書などの中国正史にならって「日本書」を目指した日本最初の勅撰の歴史書。六国史の第一。三〇巻。舎人(とねり)親王ら撰。720年成立。神代から持統天皇までの歴史を、帝紀・旧辞のほか、諸氏の記録、寺院の縁起、朝鮮側資料などを利用して、漢文・編年体で記述したもの。日本紀。

∵ 日本神話

日本に伝わる神話のこと。主に「古事記」「日本書紀」及び地方各国の「風土記」に見られる記述を元にしている。

∵ 鵺

対の雷獣の片割れ。
弱体化した妖怪を救え―――。
それは<人間>を生きながらえさせ、<>を活性化させる手段たると信じ、廻向に賛同し、弟とともにその身体を御座化した。
しかし、廻向のやり方に疑問を感じた鵺は、弟と袂を分かち、全国行脚の旅に出た。
日本中のを歩き、人間に触れ、やがて彼は一つの答えに到達する。
「弟を廻向の手から解放させる」と。
何か間違った勉強をしていたのか、江戸時代の浪人のような口調が特徴。

∵ 猫

東京中に生息する愛玩動物。
飼い猫・野良猫、ゆりねはその多くの眼を通じ、の全てを識ることができる。


は

∵ 鳳春院廻向(ほうしゅんいんえこう)

姓なきはずのが、自由を得、自らを<廻向>と名乗る。
彼は何を供養しようとしているのか?
叶うことなき自身の夢か、また愛か――――

∵ 廻向(回向)

えこう ゑかう 1 【回向/▼廻向】
(名)スル〔仏〕
(1)自己が行なった修行や造塔・布施などの善行の結果を、自己や他者の成仏や利益(りやく)などのために差し向けること。
(2)死者の成仏を祈って供養を行うこと。
「親戚一同で―する」
(3)浄土真宗で、阿弥陀仏の本願の力によって浄土に往生し、またこの世に戻って人々を救済すること。前者を往相廻向、後者を還相(げんそう)廻向という。
(4)寺へ寄進すること。
(5)回向文(えこうもん)を唱えること。また、その文。

∵ ech・o

━━ n. (pl. 〜es), v. 山びこ; こだま(する), 反響(する) ((to, with)); 反響させる ((back)); おうむ返し(に返事する); 雷同する, 付和雷同(する人); まねる, 模倣(者); 共感; 【電気】影響; (レーダーなどの)反射波; 【ギリシア神話】(E-) 森の精エコー ((死後に声だけが残った

<廻向というキャラクターの題材となった人物たち>

渋沢栄一:日本資本主義の父、明治の大実業家。
参考URL:http://www.city.fukaya.saitama.jp/shibusawa/shibusawa_2.html
早川徳次:日本初で地下鉄会社を創立。
参考URL:http://www.chikahaku.jp/contents/tenji/rekishi/rekishi_03.html
三井財閥:住友・三菱と並ぶ3大財閥のひとつ。
参考URL:http://www.tabiken.com/history/doc/R/R265C200.HTM
*坂本竜馬がもしもだったら?暴れん坊将軍がもしもだったら?

<生い立ちほか>

明治維新を駆け抜け、江戸〜東京を作り上げた、鳳春院財閥の始祖の双子。
維新の嵐の中、命を落とした志士の魂を、<の意思>がへと封入した。
またでありながらも、その弟とは関係を保っていたようだ。
やがて弟亡きあとも、一族の(弟の)力を持って、巨大複合ビル(摂理の塔:インビジブル・タワー)をその中心に築き、鎌倉の老人のごとく政財界に君臨している。
ゆりねを封印し、の力を意のままに操ることに成功。
片足が義足であるが、もともとの足は、御座開発の素材ために自ら切断した。
彼の本体(ゆっくりと年老いた肉体)はそのタワーの頭頂部に安置されている。
財閥を運営するのは、彼の弟の息子や孫たち。

<その目的>

ゆりねとともに江戸を守るうちに、やがてゆりねを愛し始めていた彼。
彼が等しく愛した人間は、やがて文明の発達とともに自然を廃棄し、悪しき成長を遂げてゆく。そして第2次大戦で焼け野原となった東京の姿――――。
「これは人間が望んだことなのか?」
そして復興。しかし、文明の発達は妖怪たちを弱体化させてゆく。
これは*気血水のサイクルを乱し、やがては死に至る。
「これはが望んだことなのか?」
問いてもゆりねは答えない。またもしかるや。
その愛は、やがて狂気へと変貌する。
彼は、財閥の力をもって得た知識をして、ついにゆりねから封印し、の力を自在に操る能力を得た。また切り落とした<の鎧足>を研究することで、妖怪を物理世界へ移し変える(魂を容器へいれる技術の応用)ことに成功する。
さらに<>を魔術と方術、また呪術とあらゆる術式を用いて縛り、その自由を奪った。
また弱体化しを支えきれなくなった妖怪の代用として、妖怪の中から素養のあるもの、力のあるものを選び<機械仕掛けの妖怪=の要石=御座>と変貌させ、の機能を人工的に支えることに成功する。
*そのバックには、ある魔術的結社の姿があるともいわれる。
(第6話最終話、廻向の最期付近)


ま

∵ 街

−KARAS−」の世界では、街を一つの人体と仮定し(妖怪=気・=血・人間=水)のサイクルを前提として設定している。
ケルト神話を基に、街(=土地)は父であり、ゆりねは母のような存在であり、と人間は街とゆりねの間に誕生した子供である。
また街の生殖機能である五臓は、下記<御座>の五行にも通じる。
この物語では、人間は生きているのではなく、<街によって生かされている>存在である。

<気血水>

漢方における仮想的病因論である。気・血・水を生体維持の3要素とみなし、気・血・水が正常に循環することで健康が保たれると考える。体内の各臓器(五臓六腑)が正常に機能するには3要素のバランス(陰陽)が重要で、いずれかの過剰や不足が病邪をもたらすと考える。血は血液を、水は血液以外の体液を指す。いずれも全身を潤し栄養を与える。血・水は陰に属し、合わせて陰液とも呼ばれる。気は陽に属し、陽気とも呼ばれる。気は陰液の滋養によって機能が高まり、血・水は気の働きによって生成と循環を繰り返す

∵ 御座

弱体化しを支えきれなくなった同族(妖怪)に変わるため、その身を機械化した妖怪たち。
彼らが倒れることは、都市機能の崩壊を意味する。
・河童・輪入道・土蜘蛛・鎌鼬

<御座とその法則>

主要な御座は、世界を構成する4大元素<水><空気><火><土>を魔術的結合により司っている。

<参考>

4人の御座は西洋思想から成り立っている。
古代ギリシャ人・エムペドクレスが唱えた四元素説
→4大元素は万物の根源(アルケー)である
http://ja.wikipedia.org/wiki/四大元素
そして鵺<金性>を加えることで、五行<木><火><土><金><水>として

<参考>

鵺は東洋思想から成り立っている。
中国の五行思想、四元素説と比較される思想。
http://ja.wikipedia.org/wiki/五行思想
二重の<呪しゅ>でを完全に掌握する。 *の掌握 → ゆりねの捕縛 (その半分は逃亡し、乙羽ゆりねとなった。鵺の東京離脱が、ゆりねの半身を逃す原因となった) *1人ずつ、御座が倒されるたびに、東京ではその<元素>まわりが不自由になる。
(例)第壱話:カッパが倒されることで、水の出が悪くなる。(ラストシーン)


や

∵ ゆりね

の意思>を代行するもの。巫女・猫の妖精。を使役し、に仇名す者を狩る。
*猫といえば、(1)妖怪の火車が有名。死者の魂を操るという伝承から、葬式などに猫が現れることは疎んじられる。
(1)生前悪行を働いた亡者を乗せて地獄へ運ぶという、火の燃えている車で死体を食いに来るという、想像上の妖怪。


ら


わ